ソフトバンクグループのやさしい企業分析!⑤ ~WeWork上場延期の理由とは?~



why
WeWorkが上場延期になった理由は何なんだろ?

本記事は、第9回に渡って掲載される「ソフトバンクグループの易しい企業分析!」シリーズの第5回です。

第5回では、第4回でこれまでの華々しさやすさまじさをご紹介した「WeWork」が地獄へ転落していくことになった原因や「WeWork」の現状をやさしく解説していきます。

この記事を読むことで、

  • 「WeWork」の地獄(上場延期)への転落劇
  • 「WeWork」の現状

を知ることができます。

 

途中で社債の話が出てきますが、ご存知でなくても身構える必要はありません。

この記事では社債についての仔細な解説はしておりませんので、深く理解したいという方はこちらの記事をお読みになって、社債についての軽い前提知識を持ったうえで読み進めることをオススメいたします。

社債をわかりやすく解説してみた

今回も肩の力を抜いて、楽しむことに重点を置いて読み進めていってください。

 

この記事では、会社名などを下記のように表現します。

  • ソフトバンクグループ株式会社:SBG(ソフトバンクグループ)
  • ソフトバンク株式会社:SBKK(ソフトバンクかぶしきかいしゃ)
  • ソフトバンク・ビジョン・ファンド:SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)

 

 

WeWork」上場延期の転落劇

男性 崖

WeWorkはものすごい大規模な資金調達を短期間のうちに連続して行うことで急激に規模を拡大し、ついに2019年8月14日にアメリカの証券取引所(NASDAQ)に上場申請をしました。

そこで目論見書を提出し、WeWorkの経営状況がはじめて公になりました。

 

目論見書とは
企業の概要や募集・売出をする株式の条件などが記載され、投資家が投資判断をする為に交付される書類です。企業が上場をする際(IPO)においても上場する企業・株式の情報が記載された目論見書が交付されます。

すると驚くべきことに、まさに「化けの皮が剥がれた」という言葉がピッタリの、とてつもなく悲惨な状況であるということが判明しました。

見えていなかった大赤字

フタをあけてみると、WeWorkの経営状況は次のように悲惨なものでした。

  • 2016年には売上4億4,000万ドルに対して4億3,000万ドルの損失
  • 2017年には9億ドルの売り上げで8億9,000万ドルの損失
  • 2018年には18億ドルの売り上げに16億ドルの損失

と毎年途切れることのない大赤字状態でした。

しかも現金残高が2,400億円しかなく、このままの状況が続けば1年と少しで現金が枯渇するという状態です。

WeWorkはビル全体、又はフロア単位で借り上げて、いわゆる「インスタ映え」をするようなカッコいいオフィスに仕上げ、それを又貸しするというビジネスモデルです。

拠点数は前回ご紹介したとおり29カ国、111都市、528カ所にのぼるとされ、その固定費はバカになりません。

ソフトバンクグループのやさしい企業分析!④ ~ソフトバンクビジョンファンドを徹底解剖!~

競合他社との比較

ここで、ロンドン証券取引所に上場しているIWG(リージャス)という類似企業との比較をしてみます。

wework リージャス 比較図

これを見て皆さんはどう思われますでしょうか?

筆者は、WeWorkの企業価値が470億ドルとされていたことに筆者は疑問しか覚えません。

ちなみにですが、IWG(リージャス)はロンドン証券取引所に上場している上場企業なので、

前回解説した非上場企業の物々交換的な企業価値の決定方法ではなくマーケットの受給をリアルタイムで反映しています。

たしかに企業価値は経営者のカリスマ性や企業のブランディング、事業計画や経営戦略、財務諸表やマクロ経済など様々な要素によって決定されるものなので数個の指標だけで判断するというのはナンセンスです。

しかしながら、シェアオフィス事業において事業の拡大の度合いを見るに当たり中核をなす上記の指標を比較したときに、WeWorkの企業価値が470億ドルとされていたことには疑問を呈さずにはいられません。

これまで急拡大を続けてきた企業ということで投資家の期待を一身に背負った上場申請でしたが、拍子抜けもいいところということで「WeWorkは最悪だ」という評価が一気に広まりました。

さらに、詳しい記載は控えますがCEOのアダムニューマンの数々の悪評も広まり、結果的にWeWorkは上場申請を取り止めることとなりました。

why
期待されていたのに、実際は中身がともなっていない企業で投資家を失望させてしまったんだね。。。



「WeWork」の現状→上場延期後のいま

wework

WeWorkの時価総額は、一時470億ドルとも言われていました。

しかし、上場を取りやめて以降の企業価値は「当初の6分の1強である80億ドル」と見る人も現れるなど、経営状況、企業価値共に悲惨な状態が続いています。

「WeWork」にパイプ椅子!?

WeWorkはこれまでインテリアへのこだわりを見せてきており、家具なども「イケてる起業家感」が演出されるようなオシャレなものを積極的に置いていました。

まさに「インスタ映え」するようなオフィスが起業家から大変人気で、それによって会員数を増やしてきたという側面もあるほどです。

しかし、現在海外の一部のオフィスにはパイプ椅子が使われているという情報が出てくるなど、依然苦しい状況が続いているということが伺えます。

why
Twitterで利用者が、パイプ椅子の写真をアップしていたらしいよ。

「WeWork」の社債の利回り

企業の現状を知りたいとき、また投資家にどのように思われているかということ知りたいときに便利なものとして、社債の利回りが挙げられます。

WeWorkが2018年4月に発行した2025年に償還される社債の利回りは、

発行当初7.875%だったにもかかわらず2020年3月16日には17%に上昇し、

2020年3月23日には一時36%にまで上昇しました。

これがいかに異常事態かを解説します。

この記事では社債自体の説明は軽くしか行いませんので、この後の内容を深く理解したいという方は先にこちらをの記事をお読みいただくことをオススメします。

社債をわかりやすく解説してみた

社債とは

社債とは、企業が投資家から資金を調達する際に発行する「借用証書」のようなものです。

企業に出資する株式とは違い社債は企業に対して貸付けを行うということなので、償還日に元本が返済されますし、決められた期間で決められた利息が支払われます。

例えば、「利率6%、期間7年、発行日2019年6月」といったような形です。

この場合、非常に簡単に説明すると100万円分の社債を購入した方には毎年6万円が利息として支払われ、償還日である2026年6月には元本である100万円が返ってくるというものです。

ただし、その企業が倒産してしまうと元本は返ってきません。

厳密に言うと債権は残りますが、債権回収は現実的にはほとんど不可能でしょう。

社債の利率は発行時に決定され以後変動しない固定金利型です。

社債の価格はほとんどの場合「額面100円」で発行され「額面100円」で返済されますが、発行から返済までの間に社債の価格は受給によって変動し、90円になることもあれば110円になることもあります。

この利息による収益「インカムゲイン」と、購入時から売却時までの価格変動による差額で発生する損益「キャピタルゲイン」を合わせたものを「利回り」として表します。

社債の利回りはその企業が成長していくと思われれば思われるほど低下し、その企業が倒産すると思われれば思われるほど上昇します。

why
リスクが高ければ、危険なぶんお得になるんだね。

「WeWork」の社債は異常?

結論、WeWorkの社債は異常な状態で、2025年までWeWorkが社債を返済できるだけの資産を残した状態で生き残るとは考えていない投資家が非常に多い状態です。

これは今まで説明してきた社債の知識をつかえばわかります。

同じ企業の社債でも発行日や償還日、利率や通貨によって利回りは様々ですが、3%や5%と1桁が当たり前で、マイナスになることも往々にしてあるという世界です。

しかし驚くべきことに、WeWorkが2018年4月に発行した2025年に償還される社債の利回りは、発行当初7.875%だったにもかかわらず2020年3月16日には17%に上昇し、2020年3月23日には一時36%にまで上昇しました。

償還まで5年も残っている社債の利回りが36%まで上昇するというのは異常な事態です。



まとめ

いかがでしたでしょうか?

第5回では、WeWorkの上場申請後に地獄へと転落していった原因とWeWorkの現状をやさしく解説してきました。

前回解説したようにこれまですさまじい快進撃を見せ世界中から脚光を浴びてきたWeWorkでしたが、実は中身がボロボロでとんでもない状況になっていたということに驚いた方もいらっしゃるのではないかと思います。

さて、こんな状況のWeWorkですが、SBGとSVFはすでに1.1兆円を突っ込んでおり退くに退けません。

そこでついに!SBGが威信をかけてWeWorkの救済に乗り出していくことになります。

そこにはSBGのWeWork救済に対する本気度や、またまたSBGのかしこさ(ズル賢さ)が垣間見えます。

第6回では、SBGのWeWork救済策とSBGのかしこさ、世間からのSBGとSVFに対する評価の変化についてやさしく解説していきます。

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